後編:WEBデザインを学ぶのに「派遣社員」という働き方は「活用する価値」はあるが長くはやらない方がいいという話

前編では、WEBデザインを学ぶことを目的にした場合の、派遣で働くメリットについて私の実体験を元に書いてきました。
後編では、デメリットと派遣で働く際の心構えについて書いていきます。

1.派遣のデメリット

以下に派遣のデメリットを挙げて見ます。

  1. 意外に自由じゃない
  2. 下に見られる
  3. 派遣切りが怖い
  4. ボーナスがなく交通費が自己負担
  5. 昇給や昇格がない

「意外に自由じゃない」

派遣会社のホームページなどで派遣で働くメリットの一つに、自由さや自分のライフスタイルを維持しやすい、などと書かれていますが、これはちょっと違うと思います。

派遣というと正社員と違い会社に縛られることなく、自分のペースで働けると思うかもしれません。

確かに採用時に短時間勤務や特定曜日の遅刻・早退など会社側の了解を得たうえで、入社することは可能ですが、入社時の取り決め以外の、例えば有給休暇などは取得しにくいです。

〇有給休暇が取りにくい

現場にもよりますが、有給休暇などは社員の人の休暇の都合を優先したうえで、周りに迷惑がかからないところで取得することになります。
私の経験だと大手企業に派遣されていた時、社員の人が夏休みと有給休暇を併せて2週間以上休むので、それ以外で休暇を取るよう言われたことがあります。
夏休みシーズン真っただ中の2週間だったため、私の休暇を友人の夏休みと合わせることができず、旅行を断念したことがありました。
けれどこれは現場次第というところもあり、派遣社員の都合を優先してくれるところもありました。

ただ、派遣社員は自分の都合を強く主張できないのは確かです。
たとえ社員の人の個人的都合で有給休暇を取得できなかったとしても、「社員の人のフォローに回っておかないと次の更新で切られるかもしれない」と思ってしまい、どうしても我慢せざるを得ません。

それと、今は違うようですが私が派遣で働いていたころは、有給休暇で半休を取得することができませんでした。
半休の場合、遅刻や早退扱いとなってしまいました。

〇作業的な仕事の場合、管理が厳しい

その他にも、自由じゃないというのは作業の進め方についても言えます。

WEBデザインのようなクリエイティブな仕事の場合はそうでもありませんが、一般事務の場合について参考までに書くと、現場によっては依頼した業務にどのくらい時間をかけたか記録されたり、作業の進め方自体、事細かに指示をされたりといったことがあります。

聞いた話ですが、10分単位のタイムスケジュールを作成されて、その通りに作業するよう指示されるといったこともあるようです。

やはり派遣先の会社としては時間単位で給与を払っていますので、合理的でない作業の進め方をされて無駄にかかった時間にまで支払いたくないですよね。

WEBデザインの業務に関してはこういったことはありませんでしたが、仕事終わりにその日の進捗を毎回確認されました。

派遣社員は正社員にしっかり管理されていることが多いので、現場によっては自分のペースで仕事しにくい場合もあります。
けれど、派遣が管理されるのは当然ですよね。
外部の人間なわけですから、野放しにするわけにはいきません。
しっかり管理し、派遣会社に支払っている金額に見合う仕事をしているかシビアに判断するのも、会社の派遣担当者の務めです。

「下に見られる」

派遣先の会社の人たちにとって派遣社員は、「外注先の人」とか「下請け業者の人」といったことになり、同じ仲間とは見てくれません。
派遣社員が仮に社員以上のハイレベルなスキルを持っていたとしても、「自分たちが使っている人」と下に見ています。

露骨に雑な対応をとられることはありませんが、「下」に見られている、という感覚は日々ひしひしと感じることになります。

派遣の面倒を見る「派遣の担当者」は、その部署の一番下っ端の社員であることが多く、派遣はその「更に下」という位置づけです。

私の実体験で言うと派遣を始めて間もない頃、生産性があがるだろうと業務の進め方の改善提案をした際、
「うちが派遣の人にお金を払っているんだから、こちらの言うとおりにやってくれればいいですよ」
と入社1年ほどの新入社員に笑顔で言われたことがあり、純粋に会社や仕事のことを考えての提案だったため傷ついたことがあります。

そうしたことが2回、3回と繰り返されると、派遣社員である自分の立ち位置がわかってきて、「会社のために」という思いはなくなり、「自分のために」得るものを得たらとっとと次に転職しよう、と割り切ったものの見方をするようになってしまいました。

けれど社員の人からすれば、派遣社員には依頼したこと以上のことは期待していないので、会社のやり方に口を出されるのは甚だ迷惑なわけです。

「派遣切りが怖い」

契約期間を2か月、3か月と短く設定して毎回更新の可否を問う会社も多いです。
派遣先の会社側にとってはいつでも切ることができるように、派遣社員にとってはいつでも辞められるように、互いに気楽でいられますが、長く働きたいと考えている人からすると、やはり契約期間が短いのは不安です。

業績が悪化したときは、真っ先に派遣が切られます。
契約期間を満了していれば、それで打ち切ることは法的になんら問題なく派遣社員としても納得せざるを得ません。

ここで給与の話をすると、派遣先の会社は派遣社員がもらっている時給にだいたい2割くらい上乗せした金額を派遣会社に払っています。
例えば派遣社員がもらう時給が1700円だとすると、派遣先の会社は派遣会社に2040円支払っています。
派遣社員の給与と派遣先の会社が支払っている金額の差額が、派遣会社の利益になるわけです。
派遣先の会社は、結構な金額を派遣社員に払っているので、派遣社員一人減らせばそれなりの経費削減となるのです。

「ボーナスがなく交通費が自己負担」

ほとんどの派遣会社で派遣社員にボーナスを支給しません。
それと交通費も自己負担です。
私は時給さえよければボーナスや交通費が支給されなくても、年収で考えて納得いく給与であればよかったので、これをデメリットと考えたことはありませんが、あまり自宅から遠く交通費がかかるような職場だと、不満に感じるかもしれません。

「昇給や昇格がない」

前編でも書きましたが、派遣社員の場合は基本的に業務内容は何年在籍しても変わりません。
それは、会社は派遣社員に業務を委託しているにすぎず、正社員と違い在籍年数とともに派遣社員を成長させ、将来その会社を担ってもらおうなどとは考えていないからです。

派遣を雇う目的は、「人手が足りない」とか「専門職だけど自社で育成するほどでもない業務」といったことを任せるためです。派遣を雇う時点で任せる業務が決まっているので、例えばWEBデザイナーの場合だと、契約内容が自社サイトの更新業務だとすると、それ以上の仕事を依頼されることはないでしょう。
もしサイトのリニューアルなどあった場合は、派遣社員に作成する能力があればやってもらうが、一時的なものなのでそれによって時給があがることはなく、作成する能力がなければ外注してしまおうと会社側は考えます。

つまり派遣と正社員だと、同じ在籍年数だとすると、最初の数年は派遣社員の方が給料はよく、年数が経つにつれ正社員の方が給料はよくなります。

年数が経つにつれ昇給されるのが当たり前の日本の風潮がありながら、派遣だと何年在籍してもそのままなので、少しむなしく感じます。
けれど派遣先の会社からすると、業務内容が変わっていないのに昇給を望むというのは虫のいい話、となってしまうのです。

業務内容が変わらず昇給や昇格がないというのは、仕事にやりがいを求める人にとっては大きなデメリットです。

2.卑屈になる

上記のようなデメリットを長いこと経験していくと、最終的にどうなってしまうかというと「卑屈」になります。
最終的にやや人柄が変わってしまう可能性があります。
私はこれが最大の派遣を長期やることでのデメリットだと思っています。
誠実に業務に携わろうとすると、どうしても自分のことだけでなく会社や社会のために有益な仕事をしよう、と無意識ながらも考えてしまいます。
そこでこうすればもっとよくなるんじゃないか、といった発想が生まれ、それを発っしたとしても・・・

派遣の言うことは、派遣先の会社の人は、まるっきり相手にしません。

誠実であればあるほど、やる気があればあるほど、裏切られたような思いをすることになります。
それでも現状を変えられないと人はどうなるかというと、「卑屈」な性格へと変わっていってしまうのです。

WEBデザインは、仕事以外でも積極的に勉強をしてスキルを身に付けていかないと、到底続けられる業務ではありません。
そんなWEBデザインを仕事にしている人は、やる気があり常にいいものを作りたいと思っている人たちです。
やったらやったなりに努力したら努力したなりに評価されたい、認められたいと思うものです。
派遣という雇用形態は、長くやればやるほど、そういった気持ちをズタズタにしていきます。

※ここで断っておくと派遣を10年20年やっても、もちろん「卑屈」にならない人もいると思います。
性格や考え方は人それぞれなので、ここで書いていることはあくまでも派遣経験者の一つの意見として、参考程度に留めていただければと思います。

3.派遣という雇用形態を「活用」するといった意識で

私が派遣社員をWEBデザインで6年間、一般事務で1年半従事した経験を元に、メリットとデメリットを挙げてきましたが、長くやりすぎなければWEBデザイナーという職種に限定した場合、派遣で働くことはメリットの方が多いと思います。
ですが長期でやればやる程、デメリットで挙げた点がどんどん強調されていくと思います。

目的を決めることが大切

派遣で働く場合は、派遣という雇用形態を今後の自分のスキルアップのために利用させてもらう、といった意識で働くことが大切です。

自分なりに派遣で働く上での目的を決め、例えば「IT大手やWEB制作会社の人脈を3年以内に構築して、それで派遣はやめる」「WEB関連のプロジェクトの現場を3つ経験したら派遣はやめる」などです。
将来なりたい自分像に合わせて目標や目的を設定して、ある程度期間を決めて働くことが大切です。

決して10年も20年もやる雇用形態ではありません。

私はWEBデザインで6年間派遣をして、長すぎたと思っています。
4年くらいで充分です。
一般事務なら一年未満で派遣はやめて、正社員に転職するべきです。

4.まとめ

派遣社員という働き方は、WEBデザインのスキルアップという点では、自分の希望に沿った会社や業務を経験できるので、学びが多く充実した時間を過ごすことができると思います。

ですが、決して長くはやりすぎないことです。
「みんないい人だし楽しいし、ずっと派遣でいいや」というのは厳禁です。
「期限を決める」なり、「こんな経験をしたら正社員で仕事を探す」、など自分なりの「派遣で働くゴール」を持つことが大切です。

この記事がどなたかのお役にたてるものになっていると嬉しいです。

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